産後の女性の身体を診させていただくことが多いですが、今回はいつも一緒に来室されている生後半年になる赤ちゃんも診てほしいと依頼されました。
「もうすぐ寝返りできそうなのに、あと一歩がなかなか…」と、お母さんは少し心配そう。「もしかして発達障害かも」と、実は大きな不安を感じていらっしゃったそうです。
親御さんにとって、赤ちゃんの成長の一つ一つは、喜びであると同時に、心配の種にもなりますよね。
🌷赤ちゃんの身体に触れて見えたこと
赤ちゃんのお身体を拝見しました。背中側から身体の「中心」をつくるように赤ちゃんの肋骨をやさしく両手で包みます。(※乳児は「正座」ができませんから、この姿勢が中心を捉えやすいのです。)
すると、赤ちゃんは私の手にぶつかるように、ぐーっと前に体を傾けてきました。 まるで「でんぐり返しするぞ!」というくらいの勢いです。
中心をキープしながら導気すると、今度は逆に胸を持ち上げるように反り返ります。
言葉は通じなくても、身体の中心を作ってあげると、赤ちゃんは「本当はこう動きたいんだよ」「これが気持ちいい!」という動きで、しっかりと応えてくれました。
🌷 中心を緩めて、本来の動きを取り戻す
次にお顔を上に向けて抱っこして背中を触ってみると、背骨の一部が硬くなっています。その部分を少し伸ばすようにしながら緩めます。この間、赤ちゃんはご機嫌で気持ちよさそうにしていました。
お母さんには、お家での抱っこの時にも、硬い背骨の部分を手のひらでゆっくり伸ばすようにしてあげてください、とお伝えしました。
🌷嬉しいご報告
それから1ヶ月後、身体のメンテナンスにいらしたお母さんから嬉しいご報告が!
「あの後、わりとすぐに寝返りができたんです。」
上のお姉ちゃんやお兄ちゃんたちも含め、ご家族みんなが、赤ちゃんの「ゴロン」を喜んで見守ってくれたそうです。
🌷 寝返りの鍵は「背骨の柔軟性」
背骨は、私たちの身体の「中心軸」です。背骨が柔軟に働くことで、身体はスムーズに自由に動かせます。
この赤ちゃんの場合、肋骨が下がり、背骨がこわばっていたせいで、寝返り動作の「最後のひねり(回旋)」がうまくできなかったのかもしれません。
今回、「寝返りをさせる」ために特別な操法をしたわけではありません。ただ、身体の中心を捉え、その硬直を緩めてあげることで、赤ちゃんの身体が本来持っている力が戻ってきたのです。
赤ちゃんは「動きたい!」という自然の要求を持っています。身体が本来持っている力を発揮できれば、成長は自然に進んでいきます。