2020年6月1日月曜日、夕飯を食べ終えた4才の息子が「お腹が痛い~」と言いました。
「お腹のどこが痛いの?」と聞くと、ここ、とみぞおちとおへそのちょうど真ん中あたりを指さします。食べ過ぎかな?冷えたのかな?と一瞬考えましたが、すぐに心理的なものだろうと思いました。
今年4月、息子は新しい幼稚園に入園したばかり。入園したと言っても3日通ったところで緊急事態宣言が発令され、「できれば家で見てください」とのことで、2ヶ月弱家で一緒に過ごしていました。
幼稚園は6月1日から本格的に再開予定でしたが、息子は一足先に5月末から通い始ました。(もともと感染者の少ない地域で、そのころには仕事や家の都合で預けたい人は遠慮なく~、というスタンスの幼稚園だったので。この辺の感じ、地域差が結構あるかと思います。)
5月中は少人数だったこと、一番のお友達がすでに一緒の幼稚園に通っていたこと、先生が特に目をかけてくれたこともあって、通う前の嫌々感からすると笑っちゃうくらいスムーズに楽しく通いました。
登園2日目に「楽しかった。幼稚園にチューしたいくらい好きになってきた。」と言ってのけたので、びっくりしました。(おいおい。ついこの前まで「おっかーがいないから嫌だ。幼稚園に行っても先生ともお友達とも絶対遊ばない!!」とか宣言してなかった?)と心の中で突っ込みを入れずにはいられませんでしたが。
そして迎えた本格再開の6月1日。朝、送迎の車が連なり、行き交う人の数も格段に多く、今までとは違う活気と緊張感がありました。そして息子は大人数の中に入るのが苦手。下駄箱で別れる時にすでに緊張しているのがわかります。
夕方、今日一日大丈夫だったかなーと少し心配しながらお迎えに行くと、案の定、表情が硬っ!目、どこ見てるのかわからない!知らない子がたくさんいる中、今までと違う空気を感じて緊張&不安な気持ちで過ごしたんだろうな、でも一日頑張ったんだなあと思うとなんだか愛おしいような気持ちにもなりました。
それでも家に帰ってきてからはいつも通り元気に遊んでいたので、そのことはすっかり忘れていましたが、夕飯のあとお腹が痛いと言ったとき、ふと緊張していた顔を思い出しました。
とりあえず膝の上に座らせて後ろから肋骨を大きく包んでみます。肋骨の硬さ、位置、左右のバランスを手で感じてみます。やっぱりいつもより硬い。肋骨は12本の骨で胸の部分を守っているはずなんですが、一本一本の骨はあまり感じられず、肋骨全体がぎゅっと縮こまった塊の様に感じます。
しばらく両側から抱えたまま導気(井本整体の技術の一つです)してみますが、変化しません。息子も「まだお腹痛い。」と言うので仰向けになってもらって、お腹を寄せていきます。すると「今度はこの辺が痛い。」と胸の真ん中あたりを指さします。胸の真ん中には胸骨という骨がありますが、手で中心に向かって寄せていきます。
ぐーっと寄せていたら「あ、治った。」と突然立ち上がります。「ちょっと待って。まだ終わってないよ。」「でももう治った。」といって遊び始めてしまいました。ほんとうかいな?と思いながら食器を洗っていたら、「あ、やっぱりまだ痛い。」というので、また仰向けに。
もう一度、場所としては鎖骨のすぐ下あたり、緊張でぎゅっと縮こまっている胸骨の両脇を、もっと縮こませるように中心に向かって寄せるや否や、息子がぱっと私の手をつかみ「ここ気持ちいいー。ここすっごい気持ちいいー。」と言いました。満面の笑みで。
お互いの手とお互いの意識が一つのところに集中して、なんとも気持ちの良い時間が流れました。ふわーと手を離すと、縮こまっていた胸に呼吸が入ります。もうお腹は痛くありません。
「さすがの体だ。」と言ってその後私は一人お風呂に入ったのですが、しばらくすると「キエー!!!!」という奇声と、ドタバタ走り回る音が聞こえてきたので、「ああ、楽しそうに戦いごっこをやってるな。もう大丈夫だな。」と湯船につかりながら確信しました。
そして次の日元気に幼稚園に行きました。今でも私たちと離れたくない気持ち、お友達と遊ぶのが楽しい気持ちとまだみんなの中に入れなくてもどかしい気持ち、先生が優しくて好きな気持ち、いろいろと毎日入り交じっていますが、毎日通っています。給食が美味しいのも楽しみみたい。
心理的な不安は鎖骨の下によく現れます。不安な気持ちが止まらない時、ストレスがかかっている時、なんだか自信がなくなっちゃったという時、ここに両手を重ねてしばらく当ててみてください。体の中心線に向かって左右から少し寄せるようなイメージで。
呼吸と共に手の温かさが体の中の中に伝わっていくように。誰かにやってあげるなら、まずは背中の肩甲骨の間を優しくさすってあげるのもいいです。温かい手で優しい気持ちで。ふと、気持ちが落ち着いていくはずです。